ドローンでビルの外壁点検

ドローンでビルの外壁点検

※埼玉県内の病院でドローンによって外壁などを点検する様子。現在は人がラジコン操作しているが、将来は自動操縦も視野に入れている (写真:日経アーキテクチュア)

 

ERIソリューション(東京都港区)とスカイロボット(東京都中央区)は共同で、ドローンを使ってビルの外壁などを点検するシステムを実用化した。6月1日 に埼玉県内の病院で、点検のデモンストレーションを行った。

使用するドローンは、DJI社の製品で、26cm四方と40cm四方の大きさの2機種を使う。ドローンには画像や動画を撮影できる力メラを搭載している。力メラは可視画像を撮影するタイプと温度差を確認できる赤外画像を撮影するタイプに分かれている。1機のドローンに設置できる力メラは1種類だ。

GPS(全地球測位システム)を利用しながら、ラジコン操作の要領で人がドローンを動かす。外壁面から数メートル離れた場所を飛ばしながら、壁面を撮影していく。中小規模のビルであれば、20分ほどで1面を撮影できるという。ドローンのバッテリーの持続時間も20分ほどだ。

点検時のドローン操作は、建物に対する知見を持つERIソリューションのスタッフが担う予定だ。力メラ設置部には水平を保てる治具を取り付けてあるので、飛行中でも安定した画像を撮影できる。

ただし、風速が強いと安定した飛行自体が難しくなる。安全性も見込んで、使用条件は風速5m未満の状態と決めている。ビルの立地に応じてビル風を受けるなど風況は異なるので、現地で確認して検査に臨む。

 

 

向かいのビルからの撮影が不要に

動画などの画像を撮影した後は、撮影ポイントごとの画像を組み合わせて、壁面全体の画像を作成する。その情報をもとに、検査技術者が壁面の劣化状況を判断する。

現場でクラックゲージを撮影した画像を取得しておけば、そのデータを用いてひび割れ幅を推定できる。高解像度のデータを取得するので、0.2mm幅のクラックを見つけることも可能だという。

下図:ドローンを使った屋上点検も可能だ(写真:日経アーキテクチュア)向かいのビルからの撮影が不要に

ビルなどが立ち並ぶ都市部でのドローンの使用には、国土交通省の飛行許可を取る必要がある。今回の現場では申請から許可まで1週間弱を要した。

都市部の建物で外壁の赤外画像を撮影する際には、撮影位置の確保という課題があった。適切な赤外画像を撮影できる仰角に制約があるからだ。狭い道路沿いのビルなどでは、地上からの壁面撮影が難しい場合が少なくない。

これまでは、こうした課題に対応するために、隣接するビル内から撮影するといった手間を要した。今回開発したドローンによる点検では、こうした手間を省ける。

 

ドローンでビルの外壁点検
ERIソリューションでは、足場などの設置が不要な今回の仕組みを使うと、外壁検査の手間とコストは、少なくとも半減するとみている。外壁のほかにも屋上や屋根の漏水調査に活用する考えだ。

 

今回実用化した仕組みでは、人がドローンを操作する。ただし、将来の自動化も視野に入れている。
(写真:日経アーキテクチュア)

 

 

 

 

 

 

 

出典:http:llkenplatz.nikkeibp.co.jp

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