ドローンの重要性

 

ドローンの想定されるサービス

想定されるサービス

 

 

公共事業にIT活用義務付け検討 ドローンや自動建機

国交省、労働力不足に備え

国土交通省は道路建設などの公共事業で、受注企業に小型無人機(ドローン)や自動制御のショベルカーなど、最先端技術の利用を義務付ける検討に入った。工事の効率を上げて費用を抑制し、将来の労働力不足にも対応する狙い。2016年度にまず2割、20年度にはすべての案件を義務化の対象とする。併せて部材の規格統一や、年度末に集中する工期の分散も促し、工事の生産性を5割向上させる。

nikkei151119-01 国交省がIT化を義務化するのは道路や堤防などの建設のうち、建機を使って土台や基盤をつくる基礎工事。国交省が単独で発注する公共事業は2.5兆円あり、16年度は2割強の5千億~6千億円分が対象となる。

石井啓一国交相は月内にも公共工事の生産性向上を検討する有識者会議を立ち上げる方針だ。年明けをメドに具体的な計画をまとめる。

自動制御の建機などは今もあるが、普及していない。国交省は利用を義務づけるため公共事業の指針となる「土木工事施工管理基準」などを見直す方針だ。土木建設への情報技術の活用などを「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と名付けて推進する。

具体的には測量、設計、施工、検査の全工程で先端的な技術の利用を求める。例えば測量では小型ドローンを使って空から3次元(3D)データを収集。これにより数日かかっていた従来の地上での作業時間を数十分に短縮できるとみている。

その後は、収集した情報に基づいて設計図面をつくり、IT対応型のショベルカーなどの建機にデータを転送できる。

自動制御で建機を動かすことが可能となるため熟練した作業員なしに工事ができる。実際に土を掘ったり固めたりする作業は効率が5割向上し、人員は3分の1に減らせると国交省は見込む。工事終了後の検査もドローンで再び測量する。

IT対応の建機は1台4500万円程度と通常より2割ほど高い。建設会社の負担は増えるが、採算の向上で長い目でみれば回収可能という。

公共事業は景気対策に使われることも多く、工事の効率化で雇用や経済の押し上げ効果が薄まるとの見方もある。

だが人口の頭打ちや高齢化に伴う人手不足で、土木作業員の賃金は上昇傾向。20年の東京五輪にかけて人手の確保は一段と難しくなるため、対策が必要と国交省は判断した。今回の取り組みは、地方自治体が発注する公共事業などにも波及する可能性が高い。

国交省は併せて公共事業で使う部材の規格統一を進め、工場で事前に作られた柱や高架などを現地で組み立てるプレハブ方式の工事も増やす。規格に合った部材を提供できる業者が受注しやすい仕組みをつくり、業界の対応を促す。

公共事業が年度末に集中し人手不足や賃金上昇を招いている問題にも手を打つ。今は発注や工期そのものが硬直的だが、発注の前倒しや年度をまたぐ工期の設定を増やし工事を分散させる。

公共事業のIT化は海外でも事例が少なく、技術が確立すれば、海外にもシステムの輸出などが可能になると国交省は期待している。

 

※本記事は、「日本経済新聞」より抜粋

 

 

30年に千億円市場 業務用ドローン、普及のシナリオ

2030年には1000億円――。日経BPクリーンテック研究所の予測では、国内における業務用の無人航空機「ドローン」の市場規模は、ドローンの高機能化とともに指数関数的に拡大する(図1)。

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図1 ドローン市場の推移(出所:日経BPクリーンテック研究所)

これは、農林水産業、行政、巡視・点検、計測・観測、撮影、輸送・物流、危険区域作業、アトラクションなど業務用途で使用されるドローンの普及シナリオから、業務用に販売されるドローン本体とドローンを使用したサービス市場を合計したものである。

同研究所が2015年6月30日に発行した『世界ドローン総覧』で明らかにした。世界の173機種のスペックからロードマップを作成し、50以上の応用分野を分析し、シナリオを描いて市場規模を算出した。

この分析には、軍事用とホビー用途は含まれていない。マルチローター(回転翼)ヘリコプターを想定しており、固定翼や無人ヘリコプターは対象から外した。サービス市場は、ドローンの稼働日数とサービス単価から算出した。行政サービスのように無償で提供される場合は、同サービスを民間企業が実施した場合を想定して料金設定した。同様に自社が業務効率で導入した場合も、外部に委託した場合を想定してサービス市場に加えた。

■ドローン普及のシナリオ

2015年の業務用ドローン市場は約30億円だが、2020年には約200億円、2025年には約440億円と拡大し、2030年には1000億円を超える。そこへ至るシナリオを、以下のように描いた。想定されるアプリケーションは50以上になる(表)。

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表 ドローンの用途。その他にホビーを挙げたが、市場ポテンシャルの算出ではホビー用途は除いた
(出所:日経BPクリーンテック研究所)

首相官邸にドローンが墜落した事件により、その危険性がクローズアップされ、足元では導入を躊躇(ちゅうちょ)する企業が多い。この段階ではドローンを利用するとしても、専門に取り扱う企業に依頼し、自社では操作せずリスクを取らないケースがほとんどだ。サービス提供企業は限られた専門企業に集中する。

用途の広がりは限定的で、試験導入は多いものの、本格的に導入する用途は少ない。空撮やメガソーラーの点検、土砂災害や土木工事の測量などが主な用途である(図2)。

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図2 ドローンの利用シーンの展開(出所:日経BPクリーンテック研究所)

2020年ころには法制度が整備され、保険サービスも充実することで、リスクが軽減される。一方でドローンの性能も向上し、操作性は一段と容易になる。一般の事業者がドローンを使ってサービスを提供するようになり、用途も広がりを見せる。防犯や農薬散布でも一般に使用され、メガソーラーから普及した点検業務は橋梁や鉄塔などに広がる。災害など緊急時の物資輸送から、孤島や買い物難民への宅配など定期的な運用へと移行する。

2025年を過ぎると自律飛行がさらに高度化し、ドローンが搭載するカメラが周りを撮影して周囲の状況を把握しながら飛行する。サービスを提供する企業だけでなく、一般企業が自社の業務効率化のためにドローンを導入するケースが増える。点検や測量はドローンの導入が一般的になり、簡単な作業であればドローンを使って遠隔操作で作業することが試験的に行われる。

■30年に業務用の年間販売台数が8200台に

業務用ドローンの販売台数は、2015年は約500台だが、2020年に約1500台、2025年に約3400台、2030年に約8200台に達する(図3)。その間に性能は急速に向上する。2015年から2020年のドローンの平均的な性能は、飛行スピードが時速数十km、ペイロードは3k~5kg、航続時間は15~20分。それが10年後の2025年以降は、飛行スピードが時速100~200km、ペイロードが20kg、航続時間は1~2時間に延びる。

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図3 事業者向け分野別ドローン販売台数の推移(出所:日経BPクリーンテック研究所)

インフラも整い、充電ステーションやバッテリー自動交換システムが普及し、1台のドローンの活動範囲は飛躍的に拡大する。

現在のドローンは、まだ黎明期の段階にある。それは1980年代のパソコン市場に例えられる。まだ「Windows」が普及しておらず、インターネットもない時代だ。その後、パソコン市場は、パソコンの機能拡大とともに爆発的に成長したが、ドローンも同様の道をたどると予測される

(日経BPクリーンテック研究所 菊池珠夫)

 

※本記事は、「日本経済新聞」より抜粋

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